おいしいパン作りのコツ

【店主のひとりごと】気になる「乳化剤」とリンの話。美味しく、健やかにベーグルを楽しむコツ


プロセスチーズの「乳化剤」の正体、知っていますか?天然酵母ベーグル屋の店主が、腎臓への負担が気になる「リン」の秘密と、日々の食卓で簡単にできる添加物の減らし方を分かりやすく解説します。大好きなものを安心して食べるための「引き算の知恵」をシェア。

こんにちは。天然酵母ベーグル店 [ベーグルヤRokko] の店主です。

毎日、小麦の香りに包まれながらベーグルを焼いています。私が天然酵母を選び、余計なものを入れないのは、「美味しい」の先に「健やかさ」があってほしいと願っているからです。

でも、一歩お店の外に出れば、世の中には便利な加工食品が溢れていますよね。 今日は、その中でも最近特にご質問が多い「乳化剤」「リン」について。 パン屋の視点から、少し深掘りしてお話ししてみたいと思います。

1. 「乳化剤」という魔法の言葉に隠れたもの

裏ラベルを観察してみて

スーパーで裏ラベルを見ると、パンやチーズ、お菓子によく「乳化剤」という文字があります。 「油と水を混ぜるためのものでしょ?」と思われがちですが、実はその多くに使われているのが「リン酸塩」という成分です。

なぜこれを使うのか。それは、安価に、大量に、そして「失敗なく」美味しそうな質感を作れるからです。

  • チーズをツルツルに滑らかにする
  • パンの乾燥を防いで、いつまでもフワフワにする
  • お肉の保水性を高めてジューシーに見せる

とても便利な「魔法の粉」ですが、実は私たちの身体、特に「腎臓」にとっては、ちょっとお付き合いが難しい相手なんです。

プロセスチーズとリンのお話

プロセスチーズやチーズフードの裏面ラベルによく「乳化剤」と書かれていますが、これには一般的にポリリン酸ナトリウムリン酸ナトリウムといった「リン酸塩」が使われることが多いからです。


なぜ乳化剤(リン酸塩)が必要なのか?

ナチュラルチーズ(加熱していないチーズ)をそのまま加熱すると、油分と水分が分離してドロドロになってしまいます。 そこで乳化剤(リン酸塩)を加えることで、以下の役割を果たします。

  • タンパク質を分散させる: チーズのタンパク質をほぐし、水と油を均一に混ぜ合わせます。
  • 滑らかな質感を作る: 冷えても固まりすぎず、とろりとした食感を維持します。
  • 保存性を高める: 品質を安定させ、長期保存を可能にします。

2. 知っておきたい「2つのリン」の違い

食べ物に含まれるリンには、大きく分けて2つの種類があります。

ここが、健康を考える上で一番大切なポイントです。

🥖 知っておきたいリンの違い

種類特徴と吸収率
有機リン
(肉・魚・穀物など)
自然の食材に含まれる。
吸収率は40~60%程度。
無機リン
(添加物の乳化剤など)
加工食品に多く含まれる。
吸収率はなんと90%以上!
※腎臓への負担を考え、控えたいのはこちら。

添加物としてのリン(無機リン)は、体にダイレクトに吸収されてしまうため、摂りすぎると腎臓に負担をかけてしまうと言われているんです。

3. 腎臓は「繊細なフィルター」

なぜ、添加物のリンが腎臓に負担をかけるのか。 それは、腎臓が私たちの体の中で「血液をきれいにするフィルター」の役割をしているからです。
私たちが食べたものは、栄養として吸収されたあと、カスが血液に残ります。腎臓はその血液を24時間休まずろ過して、不要なものを尿として外に出してくれています。

ところが、先ほどお話しした「添加物のリン(無機リン)」は、吸収率が良すぎて、血液の中にドバっと一気に入ってきてしまうんです。

フィルターが「目詰まり」してしまう?

一気に大量のリンがやってくると、腎臓というフィルターは大パニック! 「大変だ!早く追い出さなきゃ!」と、フル回転で働き続けなければなりません

これがたまになら良いのですが、毎食のように「隠れリン」を摂取していると……

  • フィルターの疲弊: 24時間ブラック労働を強いられた腎臓は、次第に疲れ果て、ろ過する力が弱まってしまいます。
  • 血管の石灰化: 追い出しきれなかったリンが血液中に溢れると、カルシウムとくっついて、血管を硬く(石灰化)させてしまうことも。

一度壊れた腎臓のフィルターは、残念ながら元に戻ることはありません。だからこそ、「いかに汚さないか(負担をかけないか)」が、一生美味しく食べるための秘訣なんです。

4. 店主が教える「隠れリン」の見つけ方

「リン酸塩」と書かれていなくても、実はリンが含まれているケースはたくさんあります。ラベルのチェックポイントはここです!

  • イーストフード: 大量生産のパンによく使われます。
  • pH調整剤: コンビニのおにぎりやサンドイッチの鮮度保持に。
  • かんすい: ラーメンの独特の食感を作るのに欠かせません。
  • 膨張剤(ベーキングパウダー): パンケーキや焼き菓子を膨らませるもの。

これら全部を避けるのは、今の時代、至難の業。だからこそ大切にしたいのが、次の「引き算」の考え方です。

5. 好きなものを諦めないための「引き算」ハック

「じゃあ、チーズやラーメンはもう食べられないの?」
どんなに添加物を嫌っても、うちの家人はカップ麺も食べますし、コンビニ飯も買い食いしています。
「体に悪いよ」と言っても、そんなことはどこ吹く風です・・・

たしかにすべてをやめるのは難しいのが現実!
大切なのは、賢く「引き算」することです。

  1. インスタント麺は「ゆでこぼし」麺を茹でたお湯には、リンが溶け出しています。面倒でも「茹でるお湯」と「スープのお湯」を別にしてみてください。これだけで全然違います!
  2. 加工肉は「サッと湯通し」ハムやソーセージも、お湯に潜らせるだけで表面の添加物を落とせます。
  3. 「ナチュラル」なものを選ぶ例えばチーズなら、乳化剤の入っていない「ナチュラルチーズ」を選ぶ。これだけで「無機リン」を大幅にカットできます。

6. 美味しさと安心を、一緒に。

ベーグルヤRokkoのベーグルは、粉と水、洗双糖、塩、そして天然酵母という、シンプルな素材でできています。 「もっとフワフワにしたい」「もっと安く作りたい」と思えば、添加物の力を借りる選択肢もあるかもしれません。

でも、私は選びません。 それは、「何が入っているか分かる安心」こそが、本当の美味しさだと思うからです。

以前の記事[ベーグルに挟むものはクリームチーズとは限らない!相性抜群のチーズたち]の記事でもご紹介しているように、実はベーグルにナチュラルチーズを合わせるのが、体にとっても一番贅沢な楽しみ方だったりします。おいしそうな記事に仕上がっているのでこちらもぜひ読んでみてくださいね!

「絶対にダメ!」とガチガチになるのではなく、知識を持って、賢く、美味しく。

そんな食卓のお手伝いができれば嬉しいです。

今日も、焼き立てのベーグルとお待ちしております。


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