小さなベーグル店の作り方

【初期費用を最小限に】高額な業務用設備は不要!自宅で本当に必要な「設備投資判断」と費用

子育て中のママや、まずは週末だけ副業で始めたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
大きな借入れをしなくても、自宅ガレージや空きスペース(居住空間とは別の)で無理なくスタートするための現実的な方法をお伝えします。

はじめに:夢を形にする前に「ムダ」をなくそう

「いつか自分のお店を持ちたい」──そう考えた瞬間からワクワクと同時に「お金どうしよう?」という現実がやってきます。特に陥りやすいのが設備投資の罠です。

業務用オーブンや立派なショーケース、豪華な内装…どれも魅力的ですが、小さな自宅開業では本当に必要なものは意外と少ないことが経験から分かります。この記事では、ムダを省いた投資判断と費用の目安、そして会計・決済を賢く整える方法をお伝えします。

自宅開業者が最初に陥る「設備投資の罠」

罠1:業務用という言葉の魔力に惑わされる

パン屋さんの厨房をのぞくと、大きなオーブンが見えます。
「いいなぁ。素敵だな」
私も業務用オーブンに憧れていました。たしかに「業務用=安心」と思っていたし、一度にたくさん焼けていいなぁ、とも思っていました。
けれど果たして私は一人でそんなにたくさんのパンを一度にオーブンに入れることが可能なのか・・・?
ここ、ポイントです!
ベーグル(パンも同じですが)を焼成する段階に持っていくためには、当然、その前に2度の発酵という工程があります。その間には分割や成型という工程も必ずあります。一人で大量のパンを焼くためには細かいタイムテーブルを作り、時間をずらしながら焼いていくという戦法を取る必要があります。
パンは生き物ですから、放っておくとどんどん発酵が進みます。過発酵させてしまってはパンの風味はがた落ちです。それはもはやパンとは呼べない代物になってしまうのです。

そのため、一人で大量のパンを焼くときは少量を何回にも分けて焼く必要があります。
大きな業務用のオーブンがいらないというのはこういった理由からです。
もし、私が作るのが焼き菓子だったらまた話は変わってきます。
大きなオーブンがあれば時短になるのかもしれませんね。
お菓子は(もちろん中には発酵という過程を含むレシピもあるかもしれませんが)
パンのように発酵のタイムを気にすることなく、一度に商品を焼き上げるということが可能なのです。

販売数が限られる自宅開業では家庭用で十分対応できることが多いと思います。
業務用オーブンは確かに耐久性や火力で優れますが、初期コストは数十万円〜100万円以上します。
大きな業務用オーブンに惹かれる気持ちは本当によくわかります。
だけど、初期は「販売テスト」と割り切り、将来の拡大時に買い替える選択肢を持つのが賢いです。

ベーグルヤでは中型の家庭用ガスオーブンを使用しています。
設備一覧は、有料ノートで公開しようと思っていますので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。

罠2:先に内装業者へ丸投げしてしまう

おしゃれな壁紙やカウンターに心惹かれる気持ちはわかりますが、内装に予算を使いすぎると肝心の設備や運転資金が足りなくなります。プロに頼むのは水回りや電気工事など“専門工事のみ”に限定し、看板、棚、ディスプレイなどはDIYで補うのがおすすめです。

とても年季がはいってしまいましたが、ベーグルヤの看板は手作りです。
ホームセンターで材料は寸法通りにカットしてもらえますし、
好きなカラーでペイントしたり、ロゴを作ったりと、開店準備をしているとひしひしとお店への愛着が湧いてきます。

業者見積りは複数取って比較すること。見た目のために大きな出費をする前に、まずは必要最低限の機能を満たすことを優先しましょう。

小さな店のための「初期費用」全体像と資金計画

設備費・工事費はいくら必要か?最低限の「目安」を公開

さて、一番気になるのは「結局いくらかかるの?」という点です。物件や自治体の基準によって費用は変わりますが、ムダを省いた場合の目安は次の通りです。

項目費用目安備考
内装・簡易改修費約10〜20万円DIY+最低限の工事
機材・什器約15〜30万円家庭用オーブン・冷蔵庫など
保健所許可対応約5万円シンク増設や排水対応等
看板・印刷物約2万円ネット注文や手作りで節約可
登録・届出費用約2万円開業届・食品衛生などの実費
合計(目安)約40〜60万円家庭ベースでの開業想定

一般的なテナント店舗の開業費が1,000万円〜2,000万円以上であるのに対し、自宅ベースなら約40〜60万円ほどでスタートできることが多いです。もちろん、ガレージ改修など規模が大きい場合は100〜300万円程度かかるケースもありますが、まずは小さく始めて検証するのがリスクを抑えるコツです。

この費用がかかる主なポイント

  • 水回り工事(二槽シンク、排水口の整備):ベーグルヤはガレージですので排水のパイプを引く改装が必要でした。
  • 電気工事(オーブン用の200V配線など):ガレージに電気は通っていませんでしたので電気工事が必要でした。
  • 空間の分離工事(製造スペースと生活スペースの仕切り):保健所に相談して自宅内で別部屋利用が可能になったとしても、保健所の指示に従って空間の分離をするにはかなりの金額がかかる覚悟も必要かもしれません。

この3つは自治体の保健所基準に直結する項目なので、優先度が高く、最初に予算を割くべき部分です。

開業資金調達は「融資」より「運転資金」を重視せよ

融資を検討することは悪くありませんが、開業初期に特に重要なのは運転資金です。まずは以下の3つを確保してください。

  1. 初期投資費:改修・設備購入費
  2. 仕入れ・運営費(約6ヶ月分):材料費・光熱費・広告費・生活費
  3. 予備費:機器故障や追加工事などの臨時支出用

私自身も、最初から大きな借入れを避け、まずは自己資金で始めました。
生活を切り崩さずに3〜6か月を回せる運転資金があるだけで、冷静に軌道修正できる余裕が生まれます。

【ムダを省く】会計と決済ツールへの「賢い投資」

開業後、意外に大変なのは「お金の管理」です。日々の売上管理、経費の記録、月末の集計……これらに時間を取られてしまうと、本来やりたい「パン作り」や「お客様との時間」が犠牲になります。ここは素直にツールに頼って時間を買うのがおすすめです。

簿記不要!初心者こそ使うべき会計ソフト(freee/マネーフォワード)

私も最初はソリマチの「みんなの青色申告」パッケージソフト(購入費:約11,000円)を長年使っていましたが、今はもうe-taxの時代で、オンラインで確定申告をするので、freeeのクラウド版を試してみたら驚くほど便利でした

私の場合、開業届を出したあとに税務署から「会計士の方が指導に伺います」と連絡がありました。
実際にお店まで来てくださり、帳簿のつけ方を丁寧に教えてもらえたんです。
「わからないことがあったら電話してください」と言ってくださって、
当時はその一言にすごく安心しました。

こうした行政の無料サポートは地域によって今も続いているようです。
まずは「青色申告会」「商工会議所」に問い合わせてみると、
会計ソフト導入の相談にも乗ってもらえます。

freeeのクラウド版やマネーフォワードクラウドは銀行や決済端末と自動連携でき、自動で仕分けしてくれるため、簿記の知識がなくても確定申告までたどり着けます。

それぞれの特徴:

  • マネーフォワード クラウド:銀行・カード連携の自動仕分けに強く、レポートが見やすい。
  • freee(フリー):開業届作成〜確定申告までガイド機能が充実。スマホでの操作も簡単。

実務では、私が日々のデータを入力する手間が大幅に減り、税務署への提出資料もスムーズに作れるようになりました。特に青色申告を目指す方には、初めからクラウド会計を導入する価値があります。

売上管理と決済手数料を抑えるPOSレジと決済ツール

私は今も感熱紙のアナログレジを使っていますが、最近PayPayを導入したことで、スマートレジへの移行を真剣に検討するようになりました。
やはりペイペイで決済されるお客様が多いです。「キャッシュカード使えないの?」と聞かれることも増えてきました。
ベーグルはコスメやファッションよりも客単価が低いので、まだ現金決済でもいける分野だとは思いますが・・・やはりキャッシュレスを導入するとお客様の利便性が上がるだけでなく、現金管理のミスや集計の手間が激減すると思います。

主な選択肢:

  • Airレジ:初期費用無料で導入でき、タブレットがあればすぐレジ化可能。飲食店での導入実績が豊富。
  • Square(スクエア):カード決済端末と連携。オンライン請求やEC決済とも連動可能。
  • POS+(ポスプラス)などの本格派:将来的に販売チャネルを増やしたい場合に便利。

決済手数料は概ね3%前後ですが、今や圧倒的にキャッシュレス決済が主流です。
現金決済しかできなくても、なんとか営業はできます。
しかし、やはりキャッシュレス決済がお客様の利便性を考える上では外すことのできない時代が来ています。
本気でお店を続けようと考えているなら、導入することを検討した方がいいと思います。

会計ソフトと連携できれば、決済データが自動で仕分けされ、確定申告の負担がさらに減ります。

※導入にあたっては、各サービスの手数料や契約条件をよく確認してください。地域や業種によって最適なツールは変わります。

まとめ:失敗は避けられる!最短で開業許可を目指す

設備選びの優先順位(簡易リスト)

  1. 保健所が求める水回り・排水の整備(必須)
  2. 最低限のオーブン(家庭用で可)・冷蔵庫
  3. 決済環境(キャッシュレス導入は優先度高)
  4. 会計ツール(クラウド会計は早め導入で安心)
  5. 看板・POP(低コストで工夫)

何より大事なのは、「今の規模で必要な投資」に絞ること。業務用という言葉や見た目に惑わされず、まずは小さく始めて市場の反応を見ながら設備を更新していく方が、安全で確実な道です。

次回は、保健所の許可申請に必要なポイントと衛生設備の実例を詳しく解説します。実際に私が準備したチェックリストや、保健所に聞かれて驚いた点など、現場で役に立つ情報をお届けしますのでお楽しみに。

もっと詳しい設備のチェックリストや、店舗の間取り図、改装費用(私の実例を含む)は有料ノートで公開予定です。リアルな購入先リストや見積りを見たい方はぜひチェックしてみてください。
(近日公開予定です)

▶ 有料ノートを見る(設備リスト・費用表)※公開前

最終更新:2025-11-12
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