小さなベーグル店の作り方

【ムダな工事ゼロ】自宅パン屋の保健所対策!「設計のプロ」を味方につけて最短で許可を得る方法

設備や資金計画(ステップ②)が整っても、次に立ちはだかるのが「保健所の壁」です。多くの方がここで立ち止まり、多額のムダな改修費を使ってしまったり、夢を諦めてしまったりします。

なんとなく、私たちは「保健所のルール」を「お役所は怖い」と思ってしまっていませんか。

しかし、実際は違います。保健所が求めているのは、「あなたの衛生管理の意思」と、それを実現するための「明確な図面と仕組み」です。
「あなたのお店がちゃんと営業できたらいいね!」という立ち位置で、とても真摯にこちらの話を聞いてくれますよ。

このステップ③では、私がガレージに自宅ベーグルヤを開店した経験を元に、あなたがムダな工事費をかけることなく、最短で許可を取得するために必要な「3つの原則の正しい理解」と、保健所から検査官が来たときに「自信を持って答えられる」具体的な準備方法を徹底解説します。

ぜひ、このノウハウを手に入れて、安心して開業の最終段階に進んでくださいね。

自宅開業で必須!保健所が求める「3つの分離の原則」と最初の準備

保健所の許可を得るために、まず「3つの分離の原則」の前にクリアすべき最も簡単な最初のステップと、私たちが陥りがちな水回りの落とし穴について、私の実体験を交えながらお話しします。

許可申請の第一歩:資格と図面を持って「相談」に行く

まず必要なのは、もちろん食品衛生責任者の資格です。これは講習を受けるだけで取得でき、難しい試験はありません。
ベーグルヤでは、公衆衛生学1時間、衛生法規2時間、食品衛生学3時間の講習を受けました。
やはり人の口に入る食品というものを扱うのですから、とても勉強になりましたね。
これは、「営業許可を取るため」というその前に、食品を扱うために必要な知識だと思います。

💡【注意!】 よく似た名称の資格に「食品衛生管理者」というものがありますが、これは全粉乳や食肉製品など、特に衛生上の考慮が必要な食品を製造する大規模な施設に選任が義務付けられるものです。自宅でベーグルや焼き菓子を製造するあなたの場合は、「食品衛生責任者」が必要です。

資格を得たら、すぐにでも保健所に「相談」に行きましょう。

  • 図面は必須:もし まだ工事の図面がないなら、手書きの図面でも構いません。どこにシンクを置くか、どこに扉を設けるかを書き込んで持っていきましょう。
  • 目的は質問: 「許可をください」ではなく、「この図面で許可が下りますか?改善点はありますか?」と質問に行くことが重要です。これがムダな工事費を避ける最大の防衛策になります。

検査官が重視する「3つの分離の原則」の核心

相談時に必ず確認されるのが、衛生管理のための「3つの分離の原則」です。特に水回りは、読者の方が最もつまずくポイントです。

  1. 水回りの分離:
    • 【重要】 保健所からは「二槽シンクが必要」と明確に指導されました。手洗い用と別々に設置するようにとは言われませんでしたが、最低でも二槽シンクは必要です。家庭用のものを流用することはできません。必ず専用のシンクを設置することが必要です。
      また蛇口は一つのシンクにつきそれぞれ一つずつ必要です。真ん中に一つだけ蛇口があるのはNG。
    • 私が指摘された落とし穴: 私は設計の途中で、使いやすさを優先してひねり式からレバー式の蛇口に変更していました。これが結果的に大正解でした。
      一度目の立ち入り検査の時はその蛇口について何の指摘もなかったのですが、二度目の更新時に「両手が汚れていても肘などで水が出せますか?あとで画像を送ってください。それから許可を出します」と言われました。一度目の立ち入り検査でもここはチェックされていたのです。
      もしレバーにせず、ひねり式にしていたらどうなっていたのか。
      このような視点で、衛生管理を徹底しているかチェックされていることが判明したのです。
  2. 空間の分離: 製造場所と生活空間を壁や扉で完全に分けることです。(ステップ②で触れた通り、ここがガレージなどの専用スペースが必要な理由です)
  3. 清潔・不潔の分離: 製造したパンや器具と、私物・生活用品が混ざらない仕組みです。(冷蔵庫の保管場所、棚の分け方など)

誰も教えてくれない!検査で問われる「隠れた重要チェック項目」

図面上の問題が解決しても、実際の検査では「地味だけど衛生管理に直結する項目」が厳しくチェックされます。

  • チェック項目①:ごみ箱の設置
    フタがついていて、清掃が容易な材質であるか。単なるカゴではなく、衛生的に密閉できるかを見られます。
  • チェック項目②:蛇口の形式
    前述の通り、レバー式や自動水栓など、手が触れずに操作できる形式が求められます。
  • チェック項目③:手洗いソープ
    これがチェックポイント。こんなところまで見ている。

あなたの夢を守る!失敗しない「工事の進め方」と業者の選び方

なぜ「店舗専門の業者」を避けてほしいのか


私は、許可を得るために高額な店舗専門の内装業者に丸投げするとすごく高くつくんだろうな、と思っていました。
たしかに彼らはプロで、お願いすれば理想的な店舗を作ってくれるでしょう。
でも私の目標は「小さな予算で、家族の生活を優先する」でしたから、最初から内装業者にお願いするのは諦めました。

私は、自宅のちょっとした水道工事や壁紙の貼り替えをいつもお願いしている顔見知りの大工さんに、最初に相談してみました。

「ガレージをパン屋にしたいんだけど、手伝ってくれない?」

でも、そこで初めて知ったんです。大工さんは、保健所の基準や、私が頭の中でぼんやり考えている『夢』だけでは、何から手を付けていいか分からないんですね。作業に取り掛かるための『図面』がないと動けないという、専門職の壁を感じました。

コストを抑えた成功の鍵は「賢い専門家の力」を借りること

ここで、私のコスト削減と夢の実現を両立させた最大のターニングポイントがありました。

それは、内装工事のプロではない、設計のプロに助けを求めたことです。

私の友人の旦那様が個人で内装デザイナーをされていたので、思い切って相談したところ、とても良心的な金額で保健所基準を満たした図面を書いてくださったんです。

当初、エントランスや店内のイメージが全く固まっていなかった私ですが、専門知識を持ったデザイナーさんに間に入っていただいたことで、

  1. ぼんやりしたイメージが、プロの目で的確に図面化された。
  2. 想像以上に、現実味をおびた素敵な店舗設計ができた。

と、本当に感謝しています。

【私からの大切な助言】

業者に丸投げせず、工事のパーツをバラバラにすること。
そして、図面作成は設計のプロに頼り、「内装工事は相見積もりで最も良心的な大工さんや工務店にお願いする」という手順を踏んでください。

結果的に、これが最もコストを抑え、しかも理想に近い自分だけの小さな店を実現する、賢い方法でした。

まとめ:ムダな改修費をかけずに許可を得る「計画」を立てよう

許可取得に必要なのは「勇気」ではなく「図面」だ

結局のところ、保健所の許可を得るために必要なのは、「多額の初期投資」ではなく、「正確な知識に基づいた計画」です。

あなたのガレージや空きスペースに、二槽シンクや手洗い場、適切な扉をどこにどう配置するか?それを図面として可視化し、それを元に業者を入れずに保健所に相談に行く勇気を持つことこそが、ムダな出費を避ける最大のポイントです。

  • 改修に入る前に、この図面で許可が下りるか確認する。保健所の窓口では親切にいろんなことを教えてくれます。わからないことはどんどん質問して!
  • 予算内で収まる設備を中古などで手配できるか考える。

知識があれば、不安は「計画」に変わります。


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二槽シンクのサイズ、排水の具体的な配置、扉の形式… こういった細部は、あなたのお住まいの自治体によって微妙に異なる場合があります。

私が実際に作成し、無駄な追加工事ゼロで許可を得た「最小改修のレイアウト図」と、検査官に聞かれた質問に迷わず答えられるよう事前に整理すべき情報とはなにか、より詳細なノウハウとしてノートにまとめました。

最短で許可を得たい方は、ぜひこちらを参考にしてください。

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