おいしいパン作りのコツ

オートミール米化はもう古い?天然酵母のプロが教える「発酵オートミール」の新常識。アメリカ式の酸味より、麹の魔法で“砂糖なしスイーツ”を作る方法

天然酵母のプロであるベーグル屋店主が、話題の「発酵オートミール」を徹底解説。アメリカ式の自然発酵(酸味)と日本式の麹発酵(甘み)の違いとは?砂糖ゼロでスイーツ級に甘くなる黄金レシピから、栄養成分比較、失敗しない温度管理のコツまで。オートミール米化に飽きた方必見の最新ガイドです。

「オートミール、健康のために食べているけれど、正直味には飽きてきた……」 「もっと美味しく、スイーツ感覚で食べられる方法はないの?」

こんにちは、日々天然酵母と向き合い、ベーグルを焼いているベーグルヤRokko 店主です。

今、アメリカを中心に「発酵オートミール(Soured Oats)」が注目されているのをご存知ですか?水に浸して数日置き、野生酵母や乳酸菌の力で発酵させる、いわば「オートミールの原点」のような食べ方です。

パン職人として、私自身もこの「自然発酵」の世界には深い愛着があります。でも、実際に試してみて、そしてプロの視点で分析した結果、一つの結論に達しました。

「毎日おいしく、無理なくダイエットを続けたいなら、自然発酵よりも『麹(こうじ)』の力を借りるべきだ」ということです。

アメリカ式の自然発酵は、独特の強い酸味があり、管理も難しく、正直「万人受けする美味しさ」とは言えません。しかし、日本の伝統である「麹」を使ってオートミールを糖化させると、砂糖を一切使っていないのに、優しい甘さのスイーツに生まれ変わります。皆さんご存じの甘酒と同じです。

なぜ、発酵のプロがわざわざ「麹」を推すのか? アメリカ式との決定的な違いは何なのか?

今回は、発酵を学んできたベーグル屋としての経験をフルに活かして、あなたのオートミール習慣を劇的に変える「究極の発酵麹レシピ」を詳しく解説します。

アメリカで話題の「発酵オートミール(Soured Oats)」とは?

最近、欧米のヘルシー志向な人たちの間で話題になっているのが「Soured Oats(サワード・オーツ)」と呼ばれる発酵オートミールです。

これは、オートミールと水を瓶に入れ、常温で1〜3日ほど置いて作る非常にシンプルなもの。実はこの仕組み、私がベーグルを焼き始めた当初、取り入れていた方法の「野生酵母(天然酵母)の種起こし」と驚くほどよく似ています。

私が最初に実践していたのは、多くの天然酵母のパン屋さんが実行されている「レーズン酵母」でした。(現在は安定性の高いホシノ天然酵母を選んでいます)
まさに、アメリカ式発酵オートミールも作り方は同じ。オートミールの穀物に付着している天然の乳酸菌や酵母を、水分と温度によって活性化させる「野生の力」を利用した発酵です。

  • 乳酸発酵: 雑菌を抑えながら、独特の酸味を生み出す。
  • フィチン酸の分解: 穀物特有の栄養阻害物質を分解し、ミネラルの吸収を助ける。

パン作りにおいても、この「自然の菌」をコントロールする時間は非常にクリエイティブで面白いプロセスです。うまく発酵が進むと、生地に奥行きのある香りと複雑な旨みが生まれます。

💡 プロの視点:レーズン酵母とオートミールの意外な共通点

私が当初ベーグル作りで採用していた「レーズン酵母」の作り方を簡単にご紹介します。実は、アメリカ式の自然発酵オートミールと原理は全く同じなんです。

  • 準備: 消毒した瓶にドライレーズンと水を入れる
  • 放置: 常温(25℃前後)で数日間見守る
  • 観察: 1日1回、蓋を開けて空気を入れ替え、ガスを抜く
  • 完成: 泡がシュワシュワ立ち、芳醇な香りがしたら成功

これ、やってみるとわかりますが、数日間ずっと菌の機嫌を伺うのは結構大変な作業。カビが生えないか、変な臭いがしないか……。「野生の菌を育てる」というハードルの高さは、オートミールの常温放置も全く同じです。だからこそ、私は「もっと確実で美味しい方法」として麹の力を借りる方がよいと思うようになりました。


「発酵」と「腐敗」は紙一重の緊張感

しかし、ベーグルを焼くために毎日酵母と向き合っているからこそ、あえてお伝えしたいことがあります。それは、自然発酵は常に「腐敗」との隣り合わせであるということです。空気中には様々な菌が浮遊していますから、コントロールは難しい。

特にオートミールを常温で放置する場合、季節や室温の変化によって菌の状態はシビアに変わります。 「昨日はいい香りだったのに、今日はなんだか嫌な臭いがする……」 「発酵が進みすぎて、顔をしかめるほど酸っぱくなってしまった」

こうした味のブレは、プロの現場でも神経を使う部分です。特に日本の高温多湿な環境では、野生の菌を狙い通りにコントロールするのは、実はかなり難易度が高い「玄人向けの調理法」と言えるのです。

正直、自然発酵は「おいしくない」と感じる人が多い理由

アメリカ式の「Soured Oats(自然発酵オートミール)」は、健康効果こそ高いものの、実際に食べてみると「あれ?」と手が止まってしまう人が少なくありません。

パン職人として多くの発酵種を扱ってきた経験から言うと、その最大の理由は「日本人の味覚には強すぎる酸味」にあります。

自然発酵は、乳酸菌の働きで雑菌を抑えるため、どうしてもヨーグルトやサワードウのような鋭い酸味が出ます。これが好きな「通」の方もいますが、毎日の朝食として、あるいはダイエット中の楽しみとして食べるには、少しハードルが高いのが現実です。

また、前述した通り「温度管理」ができない常温放置では、酸味が行き過ぎて「酸っぱくて食べられない」状態になったり、逆に発酵が足りず「ただの硬いオーツ」のままだったりと、味が安定しません。

せっかくの健康習慣も、「おいしくない」「準備がストレス」では絶対に続きません。 だからこそ、私は別の「発酵」を提案したいのです。

初心者こそ「麹」を推したい!スイーツ級に甘くなる日本式発酵の魅力

酸っぱい自然発酵とは対照的に、一口食べた瞬間に「これ、本当に砂糖なし!?」と感動してしまうのが、米麹を使った「日本式」の発酵オートミールです。

この秘密は、麹菌が持つ「アミラーゼ」という酵素の働きにあります。オートミールのデンプンを分解して、濃厚な甘みを持つ「ブドウ糖」に変えてくれる「糖化(とうか)」というプロセスです。

白米の甘酒より「太りにくい」最強の理由

「甘くなるなら、結局は白米の甘酒と同じで太るんじゃない?」と心配されるかもしれません。しかし、ここがオートミールの凄いところ。

白米から作る甘酒に比べ、発酵オートミールには「水溶性・不溶性」の両方の食物繊維がたっぷり残っています。特に注目すべきは、オーツ麦特有の食物繊維「β-グルカン」です。

このβ-グルカンが粘り気のあるゲル状になり、糖分を包み込み吸収を穏やかにし排出を助けてくれます。さらに善玉菌のエサとなり腸内環境を整えてくれます。また「セカンドミール効果」によって、その時だけでなく「次の食事」の血糖値の上昇まで抑えてくれることがわかっています。

読者の皆さんが一目で納得できるよう、白米甘酒との違いを表にまとめました。

比較項目白米の甘酒発酵麹オートミール
甘さの質非常に強くダイレクトコクのある優しい甘さ
食物繊維ほとんど含まれない非常に豊富(βグルカン等)
満足感(腹持ち)液体なので低め固形なので非常に高い
血糖値への影響急上昇しやすい緩やか(セカンドミール効果)
※同じ発酵食でも、ダイエット効率を考えるなら「オートミール」に軍配が上がります。

「失敗しない発酵」のコツは、このデンプンの糖化が最も活発になる「60℃」という温度をいかに一定に保つか。

そのためには、数日間の放置ではなく、文明の利器「ヨーグルトメーカー」を使うことが、一番の近道なんです。

【徹底比較】白米 vs オートミール(100gあたり)

成分白米(精白米)オートミール
食物繊維約0.5g約9.4g(約19倍!)
タンパク質約6.1g約13.7g(約2.2倍)
鉄分約0.8mg約3.9mg(約5倍)
GI値88(高GI)55(低GI)

※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」参照

【実録】ヨーグルトメーカーで作る「発酵麹オートミール」の黄金レシピ

ここからは、「これなら絶対に失敗しない」という黄金比レシピを公開します。

パン作りで「発酵温度の3度の差」が仕上がりを分けるように、発酵麹オートミールも60℃という精密な温度管理が成功の鍵です。

1. 材料(作りやすい分量)

  • オートミール: 100g
  • 米麹(乾燥): 100g
  • お湯(60℃くらい): 200〜250ml

まだ混ぜていません。上がコメ麹、下側がオートミールです。

2. 作り方:大切なのは「最初の一混ぜ」

容器に材料をすべて入れ、よくかき混ぜます。この時、温度が下がりすぎないよう、最初から60℃程度のお湯を使うのがコツです。

3. 温度と時間をセット

温度は60℃、時間は8~9時間に設定します。

ここで大切なのが道具選びです。炊飯器の保温機能でもできなくはありませんが、温度が上がりすぎて菌が死んでしまったり、逆に低すぎて腐敗の原因になったりすることも。「失敗せずに、確実にスイーツ級の甘さを引き出す」なら、1度単位で設定できるヨーグルトメーカーに任せるのが、実は一番の近道です。
私のヨーグルトメーカーは甘酒というオート機能付き。なので今回はそちらを利用してみました!


おすすめのヨーグルトメーカーはこちらです!参考になさってくださいね!







4. 変化を観察する楽しみ

発酵開始から4時間。少しずつ分解が始まり、オートミールが水分を吸って柔らかくなってきます。
お味のほうは、すでにほんのりとした甘みがあります。

そして8時間後はこんな風にトロッとしています。蓋を開けた瞬間に甘い香りが漂えば大成功!

とろっとしたこの質感、とてもお砂糖なしとは思えません。

【プロ直伝】砂糖ゼロで幸せ!発酵麹オートミールの活用レシピ3選

  1. 発酵オーツ・スムージー: 豆乳とバナナといっしょにミキサーへ。シェイクのような満足感。
  2. 発酵オーツ・ベリーヨーグルト: 無糖ヨーグルトに乗せるだけ。酸味との相性抜群。
                   フルーツやベリーをトッピングして満足感のある仕上がりに。
  3. ベイクド・発酵オーツ: シナモンを振ってトースターで5分。
               煮リンゴをトッピングしてアップルパイのような香ばしさも味わえます。

発酵ライフを無理なく続けるための「賢い手抜き」術

朝食を発酵食で整えるのは素晴らしいことですが、すべてを完璧にこなそうとすると疲れてしまいます。私は、オイシックス(Oisix)を併用することで、食の質と心のゆとりを両立させています。

私が「オイシックス(Oisix)」を併用する納得の理由

プロの目から見ても、オイシックスの食材は安心感が違います。発酵オートミールに欠かせない新鮮なフルーツや無添加の乳製品、もちろん乾燥麹なども手に入ります。
そして体に優しいミールキットがあるのもうれしいポイントです。

「朝は手作りの発酵食、夜は安心素材で時短料理」というサイクルはとっても気持ちが楽です。健康を長く続ける秘訣に大切なことは、「あんまりストレスにならない」ことなのかも。

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もっと詳しく知りたい方へ!基本の甘酒の作り方(簡単甘酒の作り方)

今回はオートミールを使ったアレンジをご紹介しましたが、この「発酵の魔法」のベースとなっているのは、日本伝統の「甘酒」です。

「もっといろんな麹の種類を試してみたい」 「甘酒そのものの健康効果について、もっと深く知りたい」

そんな方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください。簡単な手作り甘酒の作り方も紹介しています。

すぐできる甘酒!酒粕を使って作ってみた。米麹の本格甘酒もヨーグルトメーカーで簡単!おすすめ3選!

オートミールの食物繊維と、麹の酵素パワー。この最強の組み合わせを味方につけて、無理なく美味しいダイエットライフを一緒に楽しみましょう!

🧪 職人の補足:麹の「酵素パワー」って結局なに?

「麹の酵素が体にいい」とよく聞きますが、具体的にオートミールの中で何が起きているのか?パン作りにも通じる、その魔法の正体をプロの視点で解説します。

  • ① 甘みを作る「アミラーゼ」:
    オートミールのデンプンをチョキチョキと切り刻んで、甘い「ブドウ糖」に変えてくれます(糖化)。砂糖ゼロでも甘いのはこの酵素のおかげ!
  • ② コクを生む「プロテアーゼ」:
    タンパク質を「アミノ酸」という旨み成分に分解します。単なる甘さではなく、キャラメルのような深いコクが生まれる理由です。
  • ③ 胃腸に優しい「予備消化」:
    食べる前に酵素が分解を済ませてくれているので、胃腸への負担が少なく、栄養がスムーズに吸収されます。

「自然発酵」が菌を育てる作業なら、麹発酵は「酵素に魔法をかけてもらう」作業。この酵素が一番元気に働くのが「60℃」なんです。温度管理がいかに大切か、納得していただけましたか?

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