酒種パンってどんなもの?酒種とイーストの違いとは。日本独特の酵母、酒種の秘密を探る

おいしいパン作りのコツ

酒種とは

「酒種」とはそもそも、日本酒の製造に使用される日本古来より伝わる

発酵種のことです。

この酒種は従来から和菓子屋の酒まんじゅうの生地に使用されていましたが、

明治の初めにこれをパン生地に使用したのが、

かの有名な「木村屋総本店」ですね。

このお話はご存じの方も多いと思います。

では、その日本独自の酒種についてもう少し掘り下げてみたいと思います。

日本独自の酒種 誕生の歴史

日本に初めてパンが導入されたのは天文12年(1543年)の

ポルトガル人が種子島に漂着した時といわれています。

そこから天保年間(1830年 ~)に入ってから徐々に広がり始め、

明治維新による文明開化の時代になって西欧由来のパンが一躍脚光

を浴びるようになりました。

西洋では20世紀の初頭にパン酵母の開発と工業生産が始まり

発展していくのですが、それまではビール醸造やワイン醸造の副産物である

ビール酵母やワイン酵母がパンの製造に使用されていました。

わが国では日本酒の醸造から酒種パンが生まれたのも不思議ではありませんね。

酒種がその昔いったいどのように作られたのか・・・。

それは日本酒の発酵から応用されました。

原初の日本酒の発酵は、まず生米と布袋に入れた飯を水に沈めて適温に放置し,

飯の入った布袋をときどきもみ出します。

すると3,4日して混濁が始まります。

液が発酵し泡立ってきたらザルでこして、

そのろ液をもろみの仕込用水とし、

そこへ蒸米と麹を混ぜて日本酒となる素を作るのです。

このろ液に酵母菌が自然繁殖してくるのですね。

これを応用した方法が下記の論文にも掲載されています。

「瀬戸焼きの小壺がある。高さ20センチあまり。これに水洗いした生米を半分ほど入れる。 一方、小さなおにぎりをつくり、生米のまん中に埋め、壼を約30℃ にたもつ。        2~3日で米が泡をふく。布でこすと黄色っぽい半透明の液体がコップー杯ほどとれる。   なめると少し酸っばく渋い。この液体をもとに種(菌)をふやし、小麦粉に入れて仕込む。   おにぎりは空気中に漂う野生の酵母菌をとらえる餌である」                これは古くから行われてきた酒種のつくりかたを紹介した小文の1節である。       (参考文献「日本のパン種 酒種の起源とその発酵特性」河合 弘康)

酒種の原型は古代の酒造りに用いられる生もと系酒母なのだとわかります。

酒種の培養初期に繁殖する乳酸菌が生みだす乳酸の働きで

細菌や非発酵性の野生酵母は淘汰されていきます。

そして培養が進むにつれて米や麹由来の優良な発酵性酵母が増殖してきます。

この酒種を起こすには時間がかかりますが、

時短を求めて、種の培養の始めから適量の乳酸とあらかじめ純粋培養した種酵母を添加して

酵母を増殖させる速醸系酒母の製法も生み出されました。

酒種とイーストとの違いは?

では酒種とイーストとの違いはなんなのでしょうか。

市販されているイーストは、自然界に存在する野生の酵母の中から

パン作りに適した菌を純粋培養したものです。

イーストは麦芽糖を分解し、その時に生み出した炭酸ガスでパンを膨らませます。

いっぽう米と麹と水から作られた発酵種である酒種は、米を栄養源とした麹の力で

パンを発酵させます。

酒種を用いてつくった酒種パンからはふんわりとお酒の香りが漂ってきます。

パンの表皮が薄くて柔らか。そしてしっとりとした食感です。

パンの老化は遅くカビも生えにくく保存性が高いです。

酒種パンを食べたいのだけれど、どうしたらいい?

ここまで読んでいただき、酒種パンがどうやって誕生したのか

わかっていただけたかと思います。

ふんわりお酒の香りがする、やわらかなきめ細かいパン・・・

食べてみたいなーと思われた方も多いのではないでしょうか。

はてさて、どこでいったい買えるのでしょう?

ここではかの有名な「木村屋総本店」をご紹介したいと思います。

1870年・・・当時、日本においてパンは普及していませんでした。

どうすればパンが食べられる様になるのか・・・

「木村屋総本店」の木村安兵衛さん、息子の英三郎さんは考え抜いた結果、

酒種に出会い酒種生地が出来上がりました。

日本人の嗜好に合わせて酒種発酵種を開発し、

初めてあんぱんを作り上げたのは明治7年、

それは洋のパンに和のあんが融合した和洋折衷の画期的なあんぱんでした。

明治8年には山岡鉄舟のはからいで明治天皇に桜あんぱんを献上しました。

山岡鉄舟:旧幕臣で、戊辰戦争で新政府との橋渡し役をこなし、           西郷隆盛の推薦で1872年から10年の期限付きで明治天皇侍従を務めた人)

明治2年に木村安兵衛氏によって創業され、

100年以上経った今もなお親しまれ続けています。

コストコでも販売されていますが人気となっていますね。

「木村屋総本店」について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

あんぱんなら銀座 木村屋總本店
あんぱんなら銀座 木村屋總本店 創業155年 守り続けてきた味と伝統をお届けします

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