オリジナル小説 枝豆とカルピス 26 最終回 「いらっしゃませー」 可乃子の元気な声が「お料理 てらもと」に響く。 それに続いて健士が暖簾をくぐり入ってきた客に笑顔を見せる。 カウンターにはいつものようにまっちんと、それから信美。 信美の隣にはキヨラが行儀よく座って、 ときお... 2024.11.17 オリジナル小説
オリジナル小説 枝豆とカルピス 25 「もうすぐつく」 まっちんは会場がほど近くなると 健士に電話した。 「今、一個前のバンドがやってる。 もし無理やったら、出番遅らせてもらえるように俺、言うし」 そういう健士の声に、頼もしさすら感じる。 けれど、順番を変えるとなる... 2024.11.17 オリジナル小説
オリジナル小説 枝豆とカルピス 24 その日は朝早くから、商店街の有志が集まり、 バンドコンテストの準備を進めていた。 地元商店街のイベントにしては、大がかりだ。 会場は駅前広場の特設ステージ。 オーディションも「スタア誕生」の催しの一環で、 オーディションの方が見ご... 2024.11.17 オリジナル小説
オリジナル小説 枝豆とカルピス 23 その頃、たったひとり、アパートの部屋で九谷美香は立ち尽くしていた。 店を訪ね、可乃子がそこでなんとかやっていこうとしている姿を見て、 自分も田舎に戻る決心がついた。 部屋を引き払うことを決めて、荷物をまとめていた時、 その電話がかか... 2024.11.17 オリジナル小説
オリジナル小説 枝豆とカルピス 22 「おっはよー健士、ほれ、弁当出来てるで」 可乃子はその日も朝からハイテンションで、 健士の手に弁当を強引に押し付けた。 バンドを一緒にやると決めた夜、 可乃子は自分に受け入れられたと勘違いしたのではないだろうかと、 健士は思った。... 2024.11.17 オリジナル小説
オリジナル小説 枝豆とカルピス 21 案の定、まっちんの返事はノーだった。 キヨラはカウンターに腰を下ろして がっくりと頭を垂れた。 「な、だから言うたやん」 健士はコーラの瓶の栓を抜き、 キヨラの前に置いた。 ほろ酔い気分のまっちんだから、 もしかしたら首を縦に... 2024.11.17 オリジナル小説
オリジナル小説 枝豆とカルピス 20 ラインの返事は良いもので、キヨラはぴょんぴょん跳ねながら、 健士のもとへ向かって戻っていた。 そこにはまっちんさんもいるというから、 自分の願いがすぐに叶うような気がして、喜び勇んで駆けていた。 商店街のアーケードにさしかかった辺... 2024.11.17 オリジナル小説
オリジナル小説 枝豆とカルピス 19 キヨラは夜の商店街を一人歩いていた。 はらがぐーと鳴いたので、なにかないかと カバンを探る。 けれどさっき健士にコロッケパンを あげてしまったのだ。 カバンの中に教科書や筆記用具が入っていないのはいつものことだが、 今日は食べる... 2024.11.17 オリジナル小説
オリジナル小説 枝豆とカルピス 18 キヨラが近くまで来ているとライン。 むしゃくしゃした気持ちのまま、健士は出かけることにした。 腹はすいている。すいているが、可乃子と顔を合わせたくない。 外でキヨラとなにか食べるとしよう。 といっても財布の中には数百円しかない。 ... 2024.11.17 オリジナル小説
オリジナル小説 枝豆とカルピス 17 健士が店にもどると、その日も客は一人もいなかった。 「え?え?え?ノーゲスト?」 可乃子が頷く。 健士は怒られること想定の上で戻ってきたのだが、 弁当のことは忘れ去られたように話題に上らない。 弁当箱は流しの端に綺麗に洗われて伏せ... 2024.11.17 オリジナル小説