野菜高騰!カット野菜は栄養がないって本当?冷凍野菜には栄養はあるの?

本と日々

野菜 値上がり!カット野菜、冷凍野菜で上手に乗り切ろう

近頃の野菜の価格高騰には頭が痛い!

春が近づき、これから一人暮らしを始める人も多いことでしょう。

ここで、一人暮らしの難題の一つと言えば、食事。そしてその中でも野菜不足は深刻な課題。

一人、もしくは少人数家族だと野菜を丸ごと買っても余らせてしまうことが多いです。

また、調理をする時間がない、面倒だ、といった理由も野菜不足に拍車をかけます。

ここでは、スーパーやコンビニで簡単に手に入るカット野菜、

そして保存がきいて小分けにして少量ずつ使って行ける便利な冷凍野菜の栄養について

調べてみました。

ぜひ生活に上手に取り入れて野菜不足を解消してほしいものです。

カット野菜、冷凍野菜は栄養がないって本当?

結論から言いますと、やはりビタミンCは新鮮野菜と比べ少なくなっています。

カット野菜は工場において消毒薬を薄めた水での洗浄を経てパッキングされますので、

「栄養がない」と思う人が多いのもわかるような気がします。

しかし、ビタミンCは収穫時から徐々に減っていくもので、

家庭でも洗浄や調理によって失われていきます。

長期保存してしまった場合などもビタミンCは失われます。

その観点から、多少のビタミンCの損失こそあれカット野菜にまったく栄養がないということはないのです。

では、冷凍野菜はどうでしょうか。

冷凍野菜は旬の野菜を加熱処理した後、急速凍結させます。

加熱処理をすることで、熱に弱いビタミンCはこちらでも損なわれてしまいますが、

ビタミンAやビタミンEなどの脂溶性ビタミンはしっかりと残っています。

栄養価の高い旬の野菜を使用しているので栄養はあると言えます。

カット野菜・冷凍野菜はどうやって製造されているの?

カット野菜の製造工程と栄養の関係
原料 → トリミング → カット → 洗浄10分程度(消毒液の入った水 + すすぎ荒い) → 脱水 → 包装

洗浄時間が10分とは家庭での洗浄に比べると長く感じますが、

カット野菜を手がけるキューピーグループのサラダクラブのホームページを見てみると、

実験結果では工場と家庭での洗浄時間により流れ出る栄養素に大きな差は見られません。

野菜に含まれる栄養は主にビタミン類、ミネラル、不溶性食物繊維です。

ビタミンCは水溶性のため水に流出しやすく、またカリウムもしかり。

しかし脂溶性ビタミン(ビタミンAやビタミンD、ビタミンEなど)や

不溶性食物繊維は洗浄によって流出することはないでしょう。

製造工程・品質
キユーピーと三菱商事が設立したサラダクラブのこだわり「製造工程・品質」についてご紹介します。
冷凍野菜の製造工程と栄養の関係
材料投入 → 穴の開いた筒に入れて回転させ、虫や小さな異物を飛ばし選別する                   → 泡立てた水で洗浄   → ライン選別(手作業で目視で状態を見極める)                        →  ブランチング(加熱処理)  → 冷却   → カット・脱水  → 急速凍結   →   包装

急速凍結とは何?

食品を凍らせるとマイナス1℃程度から凍り始めマイナス5℃でほとんど凍結します。食品中の水分はこの温度帯で氷の結晶となるのですが、この温度帯に長く留まってしまうと結晶が大きくなってしまい食品の組織が壊れてしまいます。
それを避けるために急速凍結はこの温度帯をほぼ30分以内と急速に通過させ、組織の損傷を極力減らす凍結方法なのです。

ブランチングとは何?

野菜を冷凍する前に行う熱処理のことで、必要最低限の加熱処理を行うことで野菜の持つ酵素を不活性化させ冷凍保存中の変質・変色を防ぎます。また食品表面に付着している微生物を殺菌する効果もあります。酵素反応の弱いたまねぎやピーマンはブランチングを行わないこともあり、すべての野菜や果実に行われる工程ではありません。

おいしさの秘密を探る! 冷凍食品豆知識と製造工場レポート:農林水産省
意外と知らない冷凍食品の基礎知識を紹介。さらに冷凍食品工場に潜入しました。

こちらの農林水産省のサイトでも冷凍食品工場の見学レポートがあります。

ぜひご覧になってみてください。

さて冷凍野菜の製造工程はおわかりになっていただけたことでしょう。

それではこの製造工程により、栄養の損失はあるのでしょうか。

ブランチングは加熱処理ですのでたしかに水溶性のビタミンCは減少するのですが、

かりに長期に野菜を常温保存してしまうということがあれば、

冷凍野菜の方がビタミンCの残存量は多いということになります。

冷凍野菜の良いところは旬の時期に収穫された野菜を急速凍結させているというところです。
旬の時期に収穫された野菜は栄養価が高く味も良く、また収穫量も多いので値段を抑えられるという利点もあります。

カット野菜の消毒って安全なの?次亜塩素酸ナトリウムってどんなもの?

ここまで、カット野菜、冷凍野菜の製造工程について説明してきました。

カット野菜は「消毒薬を入れた水で洗浄する」のですね。

「それって安全なの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

実は私もその一人。

カット野菜は「栄養もないし、消毒薬で消毒されているから安全ではない」と敬遠していました。

そこでその不安を解消するために「カット野菜の消毒」について調べてみました。

厚生労働省の衛生管理について大量調理施設衛生管理マニュアル

( 平成 9 年3月24日付け衛食第 85号別添)(最終改正平成29年6月16日付生食発0616第1号)

その重要管理事項の(6)には次のように定められています。

(6) 野菜及び果物を加熱せずに供する場合には、別添2に従い、流水(食品製造用水
注1として用いるもの。以下同じ。)で十分洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリ
ウム等で殺菌注2した後、流水で十分すすぎ洗いを行うこと。特に高齢者、若齢者及
び抵抗力の弱い者を対象とした食事を提供する施設で、加熱せずに供する場合(表
皮を除去する場合を除く。)には、殺菌を行うこと。
注1:従前の「飲用適の水」に同じ。(「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年 厚生省告示第370号)の改正により用語のみ読み替えたもの。定義については同告示の「第1 食品 B 食品一般の製造、加工及び調理基準」を参照のこと。)
注2:次亜塩素酸ナトリウム溶液又はこれと同等の効果を有する亜塩素酸水(きのこ類を除く。)、亜塩素酸ナトリウム溶液(生食用野菜に限る。)、過酢酸製剤、次亜塩素酸水並びに食品添加物として使用できる有機酸溶液。これらを使用する場合、食品衛生法で規定する「食品、添加物等の規格基準」を遵守すること。
食品等事業者の衛生管理に関する情報
食品等事業者の衛生管理に関する情報について紹介しています。

公益財団法人 日本食品化学研究振興財団にも各添加物の使用基準の表があります。

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この次亜塩素酸ナトリウムとはどんなものなのでしょうか。

この次亜塩素酸ナトリウムは、蛋白質などの有機物と反応すると食塩に変化します。

よって食品の消毒や哺乳瓶の消毒に使われています。

NaOCl(次亜塩素酸ナトリウム)+タンパク質→Nacl(食塩)

次亜塩素酸ナトリウムを消毒剤として使用している哺乳瓶用消毒剤が販売されていますが

「消毒後すすがなくてOK」と説明書に書かれています。

消毒後によく水を切って使えば、わずかに溶液が残っていたとしても

ミルクのタンパク質と反応して塩になる。これならすすがなくても安心です。

ああ、そういうことだったのか!と思いました。

また厚生労働省の添加物部会の資料にも下記の記載があります。

食品中の栄養成分に及ぼす影響として、微酸性次亜塩素酸水処理によるビタミンC等の含量への影響を検討した結果、水道水処理等の場合と比較して影響を与えなかった。(参考4)

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf

よって、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒で野菜の栄養は損なわれることはなく、安全に食べることができることがわかりました。
カット野菜の鮮度を保持するために企業は努力している
カット野菜の鮮度を保持するために、

 1)包装フィルムの仕様を野菜の呼吸に合わせて変えること。

2)袋内を窒素に置き換えることで酸素に触れさせないこと。(酸素・二酸化炭素・窒素の混合ガスでパッケージングする「混合ガス充填製法」を導入)

 3)お店にお届けするまで、低温(1℃~10℃)管理すること。

日々、企業努力を重ね安全で鮮度の高いカット野菜を消費者に届ける努力をされていることにも

注目!したいものです。

カット野菜・冷凍野菜には栄養はあるの?まとめ

カット野菜・冷凍野菜は製造工程で水溶性のビタミンC等が減ることもありますが、

他の栄養素は残っていて、栄養があると考えられます。

また洗浄時に使用する次亜塩素酸ナトリウムの安全性も確認されています。

ただ、レタスやキャベツなどの葉物野菜は9割が水分なので、これを食べるだけでは残念ながら野菜不足解消にはなりません。

商品を選ぶ時は何品目かの複数の野菜(緑黄色野菜)入った、色彩豊かなものを選ぶことをおすすめします。

難しいことはありません。「色あざやかな野菜」と覚えておけばいいですよ。

この野菜高騰化の中、上手にカット野菜や冷凍野菜を取り入れて、

野菜不足解消!野菜たっぷりの健康生活をめざしましょう。

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