オリジナル小説

オリジナル小説

枝豆とカルピス 6

6.「うわまじで?てらちゃん死んでもた」 可乃子は古ぼけた和室に飛び込むと、てらちゃんの位牌の前で声をあげた。 小さな文机に白い布がかけられ、銀糸の綺麗な布に覆われた遺骨が 黄色と白の菊の花とともに置かれていた。 両...
オリジナル小説

枝豆とカルピス 5

5.「でね、友達のお父さんが亡くなっちゃったんです」 客待ちのレジの中で、唐揚げを補充しながら 可乃子はキューちゃんの話を聞いていた。 「仕送りとかもストップしちゃって、学費とかももう大変で、 大学やめなきゃいけない...
オリジナル小説

枝豆とカルピス 4

4,「可乃子さん、寝不足ですか?」 「ふぁー。そうなん、なんか夢見ちゃって、 よく眠れなかったんだよねぇ」 遅刻寸前で飛び込んだコンビニで可乃子は ぼさぼさと頭をなでつけながら カウンターの中にのろのろと進んだ...
オリジナル小説

枝豆とカルピス 3

3.十年後 「健士、健士ぃ、まだ寝てんのか?」 勢いよく「お料理 てらもと」の入り口の引き扉が開けられたかと思うと、 まるでボールが弾むように浅野兄弟が店の中に入ってきた。 「いったいいつまで寝てんねん?」階段の下か...
オリジナル小説

枝豆とカルピス 2

2, 「おらんおらん。またおらん、脱走や。かのちゃんがまた脱走したで」 べそをかいて太ももにすがりついた健士を片手であやしながら、 浅野信美は厨房に向かって大声で叫んだ。 厨房からのっそりと出てきたのは、てらちゃんこ...
オリジナル小説

枝豆とカルピス 1

「枝豆とカルピス」は著者のオリジナル小説です。 投稿小説サイト「エブリスタ」他でも掲載していましたが 今回こちらに移動しました。 ダメ人間の可乃子とそれをとりまく優しい人々の物語。 完結版ですのでぜひ最後まで...
タイトルとURLをコピーしました