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カット野菜が苦い?これって危険なの?
最近よく見かける「カット野菜」。袋を開けてすぐ使えて、とっても便利ですよね。でも、「あれ?このキャベツちょっと苦いかも…」と思ったことはありませんか?
「もしかして体に悪いの?」「腐ってるの?」と心配になる人もいるかもしれません。
この記事では、カット野菜の苦みの理由や体に悪いかどうか、栄養のこと、どうやって作られているかまで、わかりやすく説明します!
苦みについて
苦い原因ってなに?
カット野菜の中でも、キャベツやレタスなどは、たまに「ちょっと苦いな」と感じることがあります。これにはいくつかの理由があります。
野菜にふくまれている成分
たとえばキャベツには「イソチオシアネート」という成分が入っています。これは虫から身を守るための成分で、ちょっと苦い味がします。でも、この成分には体にいい面もあって、がんの予防に役立つともいわれています。切ったあとに変化する
野菜は切られると空気にふれます。そのときに少しずつ酸化して、味が変わることがあります。これが苦みに感じることもあります。洗うときに使われる薬
工場では、野菜をキレイにするために殺菌剤(さっきんざい)「次亜塩素酸ナトリウム(じあえんそさんナトリウム)」という薬を使うことがあります。次亜塩素酸ナトリウムは、においが強い薬品なので、すすぎが不十分な場合、ごくまれに「においが残る」ことがあります。
これが「苦い」と感じられるケースもあるかもしれません(ただし非常に少ない)。
工場では、野菜をキレイにするために「次亜塩素酸ナトリウム(じあえんそさんナトリウム)」という薬を使うことがあります。これはばい菌をやっつけるための消毒液です。
でも、しっかり水で洗い流してから袋に入れているので、ふつうはにおいや味は残りません。
もし「ちょっと苦いな」と感じるときは、キャベツにふくまれている成分(イソチオシアネート)や、時間がたって味が変わったのが原因かもしれません。
たまに消毒っぽいにおいを感じることもありますが、まれなことで、苦みの主な理由ではないと言われています。
危ないケースの見分け方
苦い=すぐに体に悪いわけではありません。でも、こんなときは食べるのをやめたほうがいいです。
色が茶色っぽくなっている
ぬるぬるしている
すっぱいにおいがする
変なにおい(アンモニアみたい)がする
これらは、腐っているサインです。
おいしく安全に食べるコツ
カット野菜は便利だけど、正しく保存しないとすぐ悪くなることもあります。
買ったらすぐ冷蔵庫に入れる
開けたら、できるだけ早く食べる(できればその日中!)
保存するときは、袋の口をしっかり閉じておこう
食べる前に軽く水で洗うと、においや苦みがやわらぐことも
温かい料理(スープや炒め物)に使うのもおすすめです。苦みが気にならなくなりますよ!
よくあるQ&A
Q1:苦いけど見た目はキレイ。食べても大丈夫?
→見た目もにおいも大丈夫なら、苦みは成分や加工のせいかも。少しなら問題ないですが、心配なら火を通して使ってね。
Q2:洗ったけど苦いまま。どうすればいい?
→加熱すると苦みが少なくなることがあります。スープや炒めものがおすすめ!
Q3:全部のカット野菜が苦いの?
→いいえ。キャベツやレタスなど、一部の野菜で苦みを感じやすいです。他の野菜ではあまり感じません。
カット野菜、冷凍野菜は栄養がないって本当?
「カット野菜は栄養がないって聞いたけど、本当なの?」という声もありますよね。実は、全部の栄養がなくなるわけではありません。
カットすることで減る栄養
ビタミンCや葉酸(ようさん)など、水にとけるビタミンは減りやすいです。
しかし、ビタミンCは収穫時から徐々に減っていくもので、家庭でも洗浄や調理によって失われていきます。
長期保存してしまった場合などもビタミンCは失われます。
その観点から、多少のビタミンCの損失こそあれカット野菜にまったく栄養がないということはないのです。
それでも残っている栄養もある!
食物せんいやミネラル(カルシウム、カリウムなど)はしっかり残っています。
だから、カット野菜=まったく栄養がないというのはウソ!
栄養をしっかりとるコツ
カット野菜だけにたよらず、できるだけ「まるごと野菜」と組み合わせて使うといいですね。
ビタミンが減る前に、早めに食べよう。
加熱しすぎないようにすると、栄養のこりやすいです。
冷凍野菜は栄養があるのか
冷凍野菜は旬の野菜を加熱処理した後、急速凍結させます。
加熱処理をすることで、熱に弱いビタミンCはこちらでも損なわれてしまいますが、
ビタミンAやビタミンEなどの脂溶性ビタミンはしっかりと残っています。
栄養価の高い旬の野菜を使用しているので栄養はあると言えます。
カット野菜・冷凍野菜はどうやって製造されているの?
カット野菜の製造工程と栄養の関係
洗浄時間が10分とは家庭での洗浄に比べると長く感じますが、
カット野菜を手がけるキューピーグループのサラダクラブのホームページを見てみると、
実験結果では工場と家庭での洗浄時間により流れ出る栄養素に大きな差は見られません。
野菜に含まれる栄養は主にビタミン類、ミネラル、不溶性食物繊維です。
ビタミンCは水溶性のため水に流出しやすく、またカリウムもしかり。
しかし脂溶性ビタミン(ビタミンAやビタミンD、ビタミンEなど)や
不溶性食物繊維は洗浄によって流出することはないでしょう。
キューピーのサラダクラブのホームページはこちらです↓

冷凍野菜の製造工程と栄養の関係
急速凍結とは何?
食品を凍らせるとマイナス1℃程度から凍り始めマイナス5℃でほとんど凍結します。食品中の水分はこの温度帯で氷の結晶となるのですが、この温度帯に長く留まってしまうと結晶が大きくなってしまい食品の組織が壊れてしまいます。
それを避けるために急速凍結はこの温度帯をほぼ30分以内と急速に通過させ、組織の損傷を極力減らす凍結方法なのです。
ブランチングとは何?
野菜を冷凍する前に行う熱処理のことで、必要最低限の加熱処理を行うことで野菜の持つ酵素を不活性化させ冷凍保存中の変質・変色を防ぎます。また食品表面に付着している微生物を殺菌する効果もあります。酵素反応の弱いたまねぎやピーマンはブランチングを行わないこともあり、すべての野菜や果実に行われる工程ではありません。
こちらの農林水産省のサイトでも冷凍食品工場の見学レポートがあります。↓
さて冷凍野菜の製造工程はおわかりになっていただけたことでしょう。
それではこの製造工程により、栄養の損失はあるのでしょうか。
ブランチングは加熱処理ですのでたしかに水溶性のビタミンCは減少するのですが、
かりに長期に野菜を常温保存してしまうということがあれば、
冷凍野菜の方がビタミンCの残存量は多いということになります。
冷凍野菜の良いところは旬の時期に収穫された野菜を急速凍結させているというところです。
旬の時期に収穫された野菜は栄養価が高く味も良く、また収穫量も多いので値段を抑えられるという利点もあります。
カット野菜の消毒って安全なの?次亜塩素酸ナトリウムってどんなもの?
ここまで、カット野菜、冷凍野菜の製造工程について説明してきました。
カット野菜は「消毒薬を入れた水で洗浄する」のですね。
「それって安全なの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
実は私もその一人。
カット野菜は「栄養もないし、消毒薬で消毒されているから安全ではない」と敬遠していました。
そこでその不安を解消するために「カット野菜の消毒」について調べてみました。
厚生労働省の衛生管理について大量調理施設衛生管理マニュアル
( 平成 9 年3月24日付け衛食第 85号別添)(最終改正平成29年6月16日付生食発0616第1号)
その重要管理事項の(6)には次のように定められています。
注1として用いるもの。以下同じ。)で十分洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリ
ウム等で殺菌注2した後、流水で十分すすぎ洗いを行うこと。特に高齢者、若齢者及
び抵抗力の弱い者を対象とした食事を提供する施設で、加熱せずに供する場合(表
皮を除去する場合を除く。)には、殺菌を行うこと。
注1:従前の「飲用適の水」に同じ。(「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年 厚生省告示第370号)の改正により用語のみ読み替えたもの。定義については同告示の「第1 食品 B 食品一般の製造、加工及び調理基準」を参照のこと。)
注2:次亜塩素酸ナトリウム溶液又はこれと同等の効果を有する亜塩素酸水(きのこ類を除く。)、亜塩素酸ナトリウム溶液(生食用野菜に限る。)、過酢酸製剤、次亜塩素酸水並びに食品添加物として使用できる有機酸溶液。これらを使用する場合、食品衛生法で規定する「食品、添加物等の規格基準」を遵守すること。
公益財団法人 日本食品化学研究振興財団にも各添加物の使用基準の表があります。
e5fa1c37b97cd7751ae74b0fbc78567833f7c77b.pdf
この次亜塩素酸ナトリウムとはどんなものなのでしょうか。
この次亜塩素酸ナトリウムは、蛋白質などの有機物と反応すると食塩に変化します。
よって食品の消毒や哺乳瓶の消毒に使われています。
NaOCl(次亜塩素酸ナトリウム)+タンパク質→Nacl(食塩)
次亜塩素酸ナトリウムを消毒剤として使用している哺乳瓶用消毒剤が販売されていますが
「消毒後すすがなくてOK」と説明書に書かれています。
消毒後によく水を切って使えば、わずかに溶液が残っていたとしても
ミルクのタンパク質と反応して塩になる。これならすすがなくても安心です。
ああ、そういうことだったのか!と思いました。
また厚生労働省の添加物部会の資料にも下記の記載があります。
食品中の栄養成分に及ぼす影響として、微酸性次亜塩素酸水処理によるビタミンC等の含量への影響を検討した結果、水道水処理等の場合と比較して影響を与えなかった。(参考4)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf
カット野菜の鮮度を保持するための企業努力

1)包装フィルムの仕様を野菜の呼吸に合わせて変えること。
2)袋内を窒素に置き換えることで酸素に触れさせないこと。(酸素・二酸化炭素・窒素の混合ガスでパッケージングする「混合ガス充填製法」を導入)
- 3)お店にお届けするまで、低温(1℃~10℃)管理すること。
日々、企業努力を重ね安全で鮮度の高いカット野菜を消費者に届ける努力をされていることにも
注目!したいものです。
カット野菜を使ったかんたんレシピ!
「料理ってむずかしそう…」と思う人も、カット野菜を使えばとってもかんたん!
火を使わずに電子レンジだけでも作れるし、少しだけ包丁を使うレシピもあります。
ここでは、すぐに作れる4つのレシピを紹介!
レンジで野菜スープ
材料(1人分)
カット野菜(キャベツミックス)…ひとつかみ
水…150ml
コンソメ…小さじ1
お好みでハムやウインナー
作り方
耐熱のカップやボウルにすべての材料を入れる
ふんわりラップをして、電子レンジで3分(600W)
よくまぜたら完成!
カット野菜でお好み焼き風
材料(2人分)
カット野菜(キャベツ)…100g
小麦粉…1/2カップ
水…1/4カップ
卵…1こ
ハムかウインナー(なくてもOK)
ソース・マヨネーズ
作り方
ボウルに野菜、小麦粉、水、卵を入れてよく混ぜる
フライパンに油をひいて、中火で両面を焼く(3〜4分ずつ)
お好みでソースやマヨネーズをかけて完成!
カット野菜のチーズ蒸し
材料(1人分)
カット野菜(もやし・キャベツなど)…1カップ
ピザ用チーズ…30g
塩こしょう少々
作り方
耐熱皿に野菜を広げ、チーズをのせる
塩こしょうをふって、ラップして電子レンジで2〜3分
チーズがとろけたら完成!
ベーコンとカット野菜のレンジ炒め風
材料(1人分)
カット野菜(野菜炒め用)…1カップ
ベーコン…1枚(細く切る)
ごま油…少し
しょうゆ…小さじ1
作り方
耐熱皿にすべての材料を入れて、よくまぜる
ラップしてレンジで3分チン!
軽く混ぜてそのまま食べられます!
カット野菜・冷凍野菜には栄養はあるの?まとめ
カット野菜・冷凍野菜は製造工程で水溶性のビタミンC等が減ることもありますが、
他の栄養素は残っていて、栄養があると考えられます。
また洗浄時に使用する次亜塩素酸ナトリウムの安全性も確認されています。
ただ、レタスやキャベツなどの葉物野菜は9割が水分なので、これを食べるだけでは残念ながら野菜不足解消にはなりません。
商品を選ぶ時は何品目かの複数の野菜(緑黄色野菜)入った、色彩豊かなものを選ぶことをおすすめします。
難しいことはありません。「色あざやかな野菜」と覚えておけばいいですよ。
この野菜高騰化の中、上手にカット野菜や冷凍野菜を取り入れて、
野菜不足解消!野菜たっぷりの健康生活をめざしましょう。